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生活保護 不正受給の問題・事例

水際作戦に代表されるような不当な生活保護受給権抑制の一方で、元来受給資格要件を満たしていないにも関わらず生活保護を受給する者や生活保護受給者として法定された義務も怠たり不正に生活保護を受給する者も数多い。また、実際に支給されるべき金額以上の保護費を不正に受給した者も存在している。

所得隠しによる不正受給とは

所得税の源泉徴収による申告をしない雇用主の下での現金払いによる就労や、友人の名義を借りた不正就労による賃金の受給、オークションや中古リサイクル店などへの売却金、仕送りの受け取り、世帯主ではない未成年受給者(主に高等学校在学生)のアルバイト収入、生命保険解約返戻金や事故などによる賠償金、ギャンブルによる配当金、株取引や先物取引、外国為替証拠金取引など、これらは本来、全て収入として福祉事務所に申告するべきものであり、通常はその収入分を減額した金額で保護費が支給される。

不正受給が過失によるものであるなど、再犯の可能性が低いものについては、生活保護法第63条による不正受給金額の返還命令が行われ、悪質な場合は同78条による徴収の実施や同85条に基づく罰則規定及び刑法の詐欺罪の規定が適用されることとなる。また、保護の廃止が検討され、さらには刑法の詐欺罪や所得税法違反(虚偽申告)などが適用される。

生活保護不正受給事例

◇滝川市で不正受給していた元暴力団員の夫婦のみならず、介護タクシー会社の役員が、不正受給に関与していたとして逮捕されている。また、大阪府岸和田市では、43歳の男性が、通院交通費として同市から約438万円を受け取り、これを元に、東京都や福岡県の病院へ、新幹線や航空機を利用して遠距離通院していた事実が発覚している。また、高槻市に於いては、市の課長が電算システムを不正操作し、多数の生活保護費を支出させ、その保護費が使途不明となる事件があった。

◇大阪市の事例

生活保護受給の要件を満たしているにも関わらず、自治体の窓口に申請に行くと、他の自治体(日雇い労働者の保護が整備されているとされる大阪市が多い。いわゆる「大阪への片道切符」)に行くことを勧められる事例が、在阪局を中心とした報道で明らかになっている。

大阪市内の34の医療機関に於いて、入院・通院患者の全てが、生活保護の受給者で占められていたことが、同市の実態調査で発覚している。過剰診療などが行われることによって、生活保護の不正請求が多数行われている疑いが指摘されている。

◇中国人による大量不正受給申請事件

2010年5月から6月にかけて、大阪市に於いて、中国人48人(いずれも福建省出身の日本人姉妹の親族とされている)が、来日直後に同市に対し生活保護を申請していたことが明らかになっている。生活保護費を狙った貧困ビジネスの可能性も指摘されており、法務省大阪入国管理局は、同市に対し在留資格の再調査を行うよう指示した。これについて同市は、2010年7月22日に、「生活保護受給を目的に入国したと判断できる」として、既に支給されていた26人の生活保護を打ち切り、審査中だった2人についても申請を却下した。

生活保護不正受給への課題

悪質な不正受給が跡を絶たない理由には、福祉事務所が積極的な不正追及を行う担保となりうる法令的根拠の整備が乏しいことにも原因があるという指摘がある。現状、近隣住民からの苦情や告発があっても刑事告訴にまで発展するケースは稀であり、警察及び検察も積極的に立件に乗り出さなかったという行政側の体制の不備を指摘する声もある。もっとも、悪質な不正受給は、言うまでもなくその行為を行う被保護者に非があることから、より厳格な受給決定手続や啓蒙の必要性が唱えられている。

これに関係し、不正受給者には暴力団その他の団体が絡む件も多い。また不正受給を是正しようとするケースワーカーに有形無形の圧力も加えられることもある。不正受給の方法が被保護者同士の情報交換やインターネットなどによって広範囲に知れ渡る事例もある。過去に雑誌「裏モノJAPAN」で不正受給の方法についての特集が組まれた。

ウィキペディア参照

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