生活保護家庭の大学進学

生活保護の家庭に生まれた方の多くは、高校を卒業すると多くの方が働くことを前提に生活しています。もちろん大学に進学して勉強をしたいと希望する子どももいますが、お金の面で大学進学を諦める方も少なくありません。その理由は、大学に進学した場合には、親と同居していても「世帯分離」(※1)となること。別世帯として扱われることで受給している保護費が減額されてしまうので、その分を補うために子どもは奨学金やアルバイトなどをして生活費や学費を稼ぐ必要が出てしまいます。
※1.世帯分離をすることで別世帯ということになるのですが、強制的に働いて親のための犠牲にならなくても良いですよ・・・という程度のニュアンスが世帯分離です。また、世帯分離になると保護の対象から外れるため、医療扶助が受けられないので国民健康保険に加入しなければなりません。
このような状況下に置かれては、いくら才能があって努力をしても、生活するのに忙しくなかなか勉強に追いつけなくなるケースが多々あるんです。生活保護から抜け出したいと頑張っても、これではなかなか報われません。

生活保護家庭の一時金

今までは結局大学への進学を果たしても、入学してからの生活費が全く無いのが現状でしたから、初任給が出ない大学生の場合は大変です。アルバイトをしたって、1ヵ月先の給料まで生活するのは大変な苦労を強いられていたと思われます。教科書を揃えるなど、学業で必要なものすら購入できないなどざらにあったようです。
しかし、このような生活保護世帯の子どもさんの進学にも光明が見え始めました。2018年6月に決まった「大学進学の一時給付金」です。一人暮らしの場合では300,000円が、親元から通う場合でも100,000円が支給されるので、最初にかかる生活費の負担がなくなるだけでもかなり生活が楽になります。生活保護家庭で高校を卒業して就職、もしくは再就職をする場合には、就労自立給付金というものがありますが、これはあくまでも就労してからの1、2ヵ月の給与が出るまでの生活をフォローしてくれるもので、大学進学のための援助ではないのが残念でした。

生活保護家庭の大学受験料

大学進学したいと思った時に、受験をする受験料はどうするのでしょう?いくつか方法がありますので明記しておきます。

授業料を除いた費用は(受験料、入学金など)、事前準備が可能です。ケースワーカーへの報告が必要ですが、アルバイトの給与の一部、高校の奨学金、保護費の一部を入学費用に充てることは許可されています。
各大学の「入学金免除」や「猶予制度」を利用することもできるので、使わせてもらうのが良いでしょう。

国公立、私立大学では随分と受験~入学、卒業までにかかる費用は異なりますので一概には申し上げられませんが、ざっくりと概算費用だけを記載しておきます。
★国公立大学:受験料~入学まで30、50万円前後。卒業するまで毎年60~80万円前後
★私立大学:受験料~入学まで120~150万円前後。卒業するまで毎年200万円前後

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