生活保護者は個人事業主になれる?

社会的に自立するために生活保護から個人事業主になりたいという話を聞きますが、実際にこのようなことはできるのでしょうか?また、自営を行っても良いのでしょうか?答えは

「ダメではないが、ほぼ無理でしょう」

できないというより、する以前の問題です。勤労、就労意欲があるのは良いと思いますが、そもそも生活保護の受給費用を開業資金に充てるということ自体が問題です。当然ながら生活保護者の就労は推奨されていますし、勤労意欲があればケースワーカーさんも喜ぶでしょう。しかし、就労するのと個人事業主になるのは全く異なることなので、「個人事業主でなければいけない」ということを、誰もが納得できる理由の提示を求められると思います。もしこれがまかり通ってしまえば、起業するための準備段階として生活保護を利用する方が増えてしまうかもしれません。生活保護はあくまでも自立するための一時的な避難場所のようなものなので、個人事業主として認められることは無いと考えて良いと思います。

個人事業主は生活保護を受けられる?

元々、自営業などを行っていて、生活保護を受けるケースで一番多いのは、事業での借金だと思います。もちろん、個人事業主の方でも生活保護を受けられますが、それには色々とクリアーしなければいけないことがあります。借金はあるが生活保護を受けたいという例で解説します。

➀福祉事務所へ相談
最寄りの市役所の福祉事務所(生活支援課など名称は様々)へ行き、借金を返済していかなければいけない旨を伝えます。「借金があると生活保護対象ではない」という法律は無いのですが、不正受給へ繋がる可能性を考えて審査されます(申請の拒否は違法)。ようするに

「借金を返済しつつ受給はできない」

ということです。生活保護は「衣食住」に関わる費用、その他健康で文化的な生活を送ってもらう権利です。しかし、その中に「借金支払い」の項目はないので、保護費を借金返済に充てることは許されていないんです。

➁債務整理を勧められる
「借金を支払える預貯金も無い」「病気で仕事もできなくなった」「親族で誰も助けてくれる人がいない」ということが証明されれば、まずは債務整理を勧められると思います。なんとか返済の目処が立つのであれば返済するのがベストですし、借金をしているところにも誠意を見せられます。しかし、生活苦になるのが目に見えるのであれば、債務整理をすることも視野に入れてもいいかもしれません。

➂借金返済の相談
お金をかけずに法律のスペシャリストに相談に乗ってもらうのであれば、日本司法支援センター法テラスが良いと思います。法テラスでは1案件につき3回までは弁護士に無料で相談に乗ってもらえるのでお勧め。債務整理にも色々と方法がありますが、一番有名なのは「自己破産」でしょう(その他任意整理など多数あり)。色々と支払い減額方法などがありますが、本当に借金をゼロにしたいのなら自己破産が良いと思います。まずは法テラスや弁護士事務所の無料相談などで、弁護士に相談してください。
※任意整理は月々の返済額を減らすのがメインなので、借金がゼロになる訳ではありません。もし、任意整理後に生活保護を受けてしまった場合は、月々の借金の返済ができなくなるので、止めておいたほうがよいかもしれません。

 

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